21世紀のサイノツノブログ

サイノツノによる提言

ビジネス革命 『BUSINESS AS UNUSUAL ザ・ボディショップのみんなが幸せになるビジネス。』(トランスワールドジャパン)

先日の記事で少し触れたのだが、ボディショップの創業者アニータ・ロディックの著書『BUSINESS AS UNUSUAL ザ・ボディショップのみんなが幸せになるビジネス。』を読んだ。

 

horn-of-rhinoceros.hatenadiary.jp

 

本書では、もう少し具体的な仕事の内容や、個別の案件、彼女のポリシーについて知ることができる。

 

アニータ・ロディックのすごさを一言でいえば、やはり、社会貢献をビジネスに組み込んだことだことによってビジネスの枠組みを変えたことにある。実際彼女は、「ビジネスは社会貢献と別物だと考えていない」とはっきり言っている。

ボディ・ショップのビジネスは、フェア・トレードを通じて、途上国の女性の生計を助けると同時に、ボディショップの商品の付加価値も高めることができ、また消費者にも誠実な商品を届けることができる、という「三方良し」のビジネスである。

アニータが亡くなった今でも、ボディショップの商品には「コミュニティ・フェアトレードを支援しています」との表記がある。ちなみに私が持っている「シア ボディバター」はガーナ産シアバター・ココアパウダー、ブラジル産ババスオイルカメルーン産ミツロウがしようされているそうだ。また、「動物実験に反対しています」との表記もある。

 

今ではこのようなことは流行を超えてスタンダードになりつつあるが(たとえば、先日友人に貰ったフェイスパックの売り上げの一部は、水不足の地域に水を供給するために使われるそうだ)、そのスタンダードを作ってきたのはボディショップとアニータなのだ。

 

また、彼女は 従業員に対しても自らの信念を発揮した。従業員が休暇をとってボランティアに行くことを推進した。店で人権に関するキャンペーンを行うことを見守った。会社から遠いところに住む従業員の育児を支援するバウチャー制度を導入した。

 

はたして、彼女の信念とはなんであったか。

本書から私が読み取った彼女の思いは、「変化し続けたい」「搾取を許さず、搾取されるものと戦う」「女性を応援したい」である。 

「変化し続けたい」という思いはボディショップをトップブランドに押し上げ、「搾取を許さず、搾取と戦う」という思いはフェアトレードはもちろん、シェルに搾取されたオゴニ族を深く支援することにつながった。人間だけでなく、動物の搾取にも反対する活動を行い、イギリスに正式に動物実験禁止を制定するに至らせた。

「女性を応援したい」という思いは、女性組織の支援はもちろんのこと、美容業界の広告や抑圧された女性の状況に対する皮肉をこめたポスターを作成するに至らせた。そのポスターで人気の高かったものが、「ルビー」というふくよかな体型の人形の写真とともに「There are 3 billion women who don`t look like supermodels and only 8 who do.」というメッセージが入ったポスターだったという。アニータは、美容業界はあり得ないようなビジュアルを提示して、女性を見た目のことで悩ませようとしているように思え、不安を煽って「自己否定を強いている」と語っている。そういう意味では、ボディショップの存在そのものが女性の助けとなっているように思われる。

 

社会を変えたい、より良いものにしたい。

そう思う時、政治の世界に踏み出す人もいれば、NPOに入ったりする人もいる。彼女のようにビジネスに踏み出す人もいる。方法はいくらでもある。

しかし、現代の世界では、「お金」が全ての根源になっているように見える。ということは、ビジネスの世界で成功することは、現代の世界においては、その分影響力を持つことにつながる。「お金」自体に価値はないけれども、そしてそれはみんながわかっているはずのことなのだが、実際は「お金」のリアリティが強い世界であるから、それを利用するのもひとつの手なのだ。

そのような世界だからこそ、あえてそのシステムに乗っかりつつも、その領域で多くの人が見えていない方法を発見することによって、社会に多大なインパクトを与えることができるのだ。アニータの仕事はまさにそのようなものであった。

 

「経済」の本来の目的は、経世済民である。彼女の仕事は本来の意味での経済活動であった。いまのビジネスは本当に「経済」活動なのであろうか。先進国で経世済民の 目的が達成されつつある今(もちろん先進国の内部での搾取は未だ存在するが、それはシステムの問題であるからここではひとまずおいておこう)、「経済」やビジネスはどうあるべきだろうか。

これからの21世紀を生きる我々は、アニータの仕事から学ぶべきだろう。

 

ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス。

ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス。