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21世紀のサイノツノブログ

サイノツノによる提言

自由と尊厳と 『ブラッド・ダイヤモンド』

本作は、シエラレオネの内戦を舞台に、いわゆるBlood Diamonds=紛争ダイアモンドをめぐる人々の人生を描いた作品である。

メインの人物は3人いて、シエラレオネの漁師ソロモン、傭兵のアーチャー、ジャーナリストのマディである。

 

ストーリーをおおまかに説明しよう。

ソロモンは妻と赤ん坊、医者を目指す息子と共にシエラレオネの村に暮らしてた。ある日、村に反政府軍のRUFがやってきて、ソロモンは家族と引き離され強制労働に連れて行かれる。強制労働とは、ダイヤモンドの採掘だった。RUFは、ダイヤモンドを武器購入の資金源にしていた。そこで発見したダイヤモンドは全てRUFに渡さねばならず、すきを見て自分のものにすれば銃殺された。そんな現場でソロモンはピンクの大きなダイヤモンドを発見する。RUFの幹部に隠れてそれを土に埋めている所を、一度見つかるのだが、ちょうど政府軍が突入してきたすきに埋めて隠した。そして彼は政府軍に連行され、収容される。 

 

傭兵であり、宝石の仲買人であるアーチャーはソロモンが収容されている留置所で彼が「ピンク」を持っていることを知り、根回しして彼を解放する。アーチャーは、ソロモンのピンク・ダイヤモンドを元手にアフリカを脱出するのが目的であった。ソロモンは何度もしらばっくれるのだが、RUFの首都制圧の際に命の危機に直面し、アーチャーと手を組むことになる。

 

ジャーナリストのマディは、内戦下の強制労働を通じて採掘されるダイヤモンドをイギリスの宝石商が買い付けている証拠どりに奔走しており、アーチャーに協力を依頼する。アーチャーは協力を拒むが、ピンク・ダイヤモンドの捜索のためにマディと行動を共にすることになる。

 

ソロモン、アーチャー、マディはRUFに見つからないようにジャーナリストや現地の有力者、アーチャーの上官らと行動をともにしながら、ダイヤモンドの埋め場所を目指す。徒歩でしか進めないところまできて、アーチャーはマディに帰るようにうながし、彼女は連絡先を渡して去る。

ついに埋め場所にたどり着くが、アーチャーの上官も「ピンク」を狙っていて、それを渡すように迫る。ソロモンと行動を共にするうちに何か感じるところがあったアーチャーは上官を撃つ。逃げる途中被弾するのだが、ソロモンとRUFから奪還した息子を呼んでいたヘリに乗せるため、岩場に留まる。

虫の息になりながら、アーチャーはマディに電話をするのだった。 

 

無事逃げられたソロモンは、ロンドンで「ピンク」を宝石商に売る。その現場をアーチャーから連絡を受けていたマディが写真におさめていた。

 

 

本作は、映画であるからエンターテイメント的な部分もあるのだが、それ以上に観る者に社会的な問題を想起させる。

 

戦争の費用を得るために奴隷のように人を使ってダイヤモンドを掘らせる。そしてそのダイヤモンドは市場にでればどこからとられてきたかはわからなくなる。宝石商はそのようなダイヤモンドであってもダイヤモンドに違いはないから平気で購入する。しかし、その宝石商から買うのは誰だろう。「ほしがる人がいるから・・・」という台詞が映画中にあるのだが、その通りであろう。

ほしがる人がいるから、宝石商はダイヤモンドを内戦国からでも買う。内戦国は外貨を獲得し、そのお金で武器を買う。そして内戦は継続する。

 

あらゆる商品に似たような背景があるのではないだろうか。

たとえば、安くて便利な服。多くは発展途上国で作られている。そこでは独裁や人権侵害が問題になることがある。私たちは心を一瞬痛める。しかし、安くて便利だから次の日はまた同じ商品を買っている。そのお金は問題がある政府や企業に流れる。そしてその体制は継続する。体制の継続によって、多くの人々が自由と尊厳を奪われる。

 

私たちは安くて便利という理由で買っているが、大きな流れの中では体制維持を買っていることになる。このことは、以前の記事にも少し書いた。

horn-of-rhinoceros.hatenadiary.jp

 

資本主義社会においては、放っておけばこのような状況になるのは当然の帰結のようにも思われる。しかし、人の自由や尊厳と引き換えにしてまでほしいものが、果たしてあるのだろうか。

 

私たちは、目の前の親しい友人と、異国の人間のことを考えるときに、どうしても目の前の親しい友人に臨場感を感じてしまう。それは通常の状態ならば当たり前に思われる。しかし、目の前の友人と異国の人々の間になんの違いがあろう。21世紀は、すべての人が悟れる時代だ。戦争の原因となる物理的な飢餓はすでに克服した時代だ。

そのような時代に生きる私たちならば、もうこんなことはしない。Blood Diamondsはもう生みださない。

 

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 演技などの感想を言えば、ディカプリオが英語の訛りを使い分けているのがすごい。でもどの訛りで喋っていても、語尾がやや上がり調子になるのがおもしろい。たしか特典映像によると、彼は実際に現地で友人を作って習得したそう。ソロモン役のジャイモン・フンスーも熱演であった。