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21世紀のサイノツノブログ

サイノツノによる提言

梅雨に思い馳せて 『雨のことば辞典』(講談社学術文庫)

少し前に梅雨に入った。
毎日しとしとザーザーと雨が降って、気が滅入ることがある。

もちろん、雨が心地よく感じられる日もある。しかし、やはり人間は生物であるから根本的に太陽の光を必要とするようである。
そこで、気が滅入って太陽が恋しい日にぴったりなのが本書である。


『雨のことば辞典』は、気象予報士と雨の文
化誌を研究するエッセイストの2人が編者ということもあり、幅広く雨にまつわることばが載せられている。
コンパクトな文庫なのであるが、まさに辞典という名にふさわしい情報量である。



日本の上空は、「空の水道」と呼ばれているそうで、年間の平均降水量は地球表面における全体降水量の平均値の2倍だそうだ。また、東京の降水量はロンドンの2倍であるとのことである。
日本は比較的雨がよく降る地域のようだ。

本書において、日本各地の雨を表現した方言も数多く紹介されていることから、昔から日本人は雨と付き合ってきたことがうかがえる。


たとえば、「せいう」と読む雨のことばだけでも4つ紹介されている。
「静雨」(静かにふる雨)、「凄雨」(ものさびしく降る冷たい雨、またはすごみのある雨)、「請雨」(雨乞い)、「星雨」(たくさんの流星が流れるさまを雨にたとえた)といった具合である。

また、いまの時期の雨は農業に欠かせないものであり、貴重な水資源にもなる雨だそうである。
梅雨はときに嫌われものだけれど、梅雨があるからこそ私たちはこれらの恩恵を享受できる。


おもしろかったのが、「宇宙由来の雨」という項目である。「宇宙由来の雨」とは、「宇宙から飛来する雪玉が溶け、地球の雨にまじって地上に降るものをいう」とのことである。
なんでも、地球大気に向けて毎日数千個も飛来している雪の玉が、地表に近づいて雲の一部になり、そして雨になるそうである。ただし、1997年の時点では学問的に確定されていないとのこと。
今はどうなっているかはまだ調べていないのだが、事実だとすればなんだかロマンチックな話である。



雨はときに厄介に感じるけれど、世界と自分との関係が深く感じられる良い機会でもある。
本書を読んで、先人がどのように雨と付き合ってきたのかがわかり、雨の日もそんなに悪くないと思った。


雨の日に本書をパラパラとながめながら雨音に耳を傾けるのもまた一興である。


雨のことば辞典 (講談社学術文庫)

雨のことば辞典 (講談社学術文庫)